お知らせ・コラム information
コラム歯周病
歯周病と腸内細菌叢について
皆さんこんにちは結デンタルクリニック津田沼です。今回のコラムは歯科雑誌に興味深い記事を見つけたのでご紹介いたします。
タイトルは「意外な関係お教えします。腸内細菌叢と歯周病」で、山下和久先生nico.2022.01 P.39-46から引用改変させていただきます。
この記事は、腸内の細菌叢が歯周病にとって悪い働きをするという内容でした。
まず歯周病なのですが、歯周病は歯茎の骨が病的に減ってなくなる病気です。
歯周病は歯周病の原因菌が、歯垢の中にいて、歯ブラシや歯間ブラシが歯ぐきの際に当たらないことにより、歯ぐきの中にその細菌が感染を起こしてしまい発症します。
それを前提にしていただき、以下は記事からの紹介となります。
歯周病が関係する全身の病気
歯周病が関係する病気として最初に注目されたのは糖尿病でした。現在では脳卒中・脳梗塞、アルツハイマー型認知症、冠動脈心疾患、慢性腎疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、結腸・直腸がん、関節リュウマチ、早産、低体重児出産が関係するといわれています。
では、歯周病はどのようなしくみでそれらの病気と関係をするのでしょうか。
- 従来の考えでは
炎症を起こした歯ぐきから歯周病菌が血管内に侵入し、血流に乗って全身に広がります。
歯ぐきに集まった感染免疫砂防から作られる「炎症性物質」が血流にのって全身に広まります。
- 新しく注目されている考え
飲み込まれた歯周病菌が胃で死なず腸までたどり着き腸内細菌叢を乱します。それが全身の病気に影響します。
では腸内細菌叢が乱れるとどうなるのでしょうか
腸管免疫が低下する。バリア機能が低下する。腸内細菌叢が作る代謝物が変化する。ということが起きます。
肥満になりやすい腸内細菌叢
マウスを普通食で飼育する群と、高脂肪食で育てる群を用意し、それぞれの糞便から腸内細菌を採取し、無菌マウスに移植します。その後移植されたマウスは普通食で飼育されました。その結果普通のえさで育てられたマウスから採取した腸内細菌を移植されたマウス群は普通のままで、肥満マウスの腸内細菌を移植されたマウス群は食べているものは普通食なのにも関わらず、太ったという研究があります。
肥満の腸内細菌叢は歯周病を悪化させる。
さらに、先ほどの腸内細菌が移植されたマウスに人工的に歯周病(歯の周囲に糸をを方法)を起こさせた結果、肥満マウスの腸内細菌を移植されたマウスは、そうでないほうに比べ歯周病が重症化したという研究があります。
これは肥満になりやすい腸内細菌叢の持ち主は、歯周病が悪化しやすいことを意味します。また、この肥満になりやすいマウス群の血中には尿酸の量が増えていることがわかりました。尿酸の量が増えると歯周病が悪くなると言い換えることができます。マウスとヒトの腸管のつくりは同じではないですが、肥満になりやすい腸内細菌を持っている方は、尿酸を減らすと歯周病に良い影響を与えると思われます。
腸内細菌を健康に保つには?
歯周病菌は腸内細菌叢を乱します。歯周病になっているなら早めの治療をお勧めします。
高脂肪食や、糖質過多食(ラーメン、ハンバーガー、フライドチキン、スナック菓子など)を続けると腸内細菌叢のバランスが崩れます。
という結論で締められていました。以上がダイジェストですが、
マウスでの動物実験のため、肥満と尿酸と歯周病の関連がヒトでも同じこととして言えるかは、実際に人を対象にした研究が進むのを待つ必要があると思いますが、今後の発展が楽しみな分野だと思いました。
また歯周病の治療・予防は結デンタルクリニック津田沼にご相談いただければ幸いです。