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歯周病を治したい!どうやったらいい?抗生剤で治せるの?その2
歯周病が抗生剤で治らないことを前回はお話ししました。
今回は、抗生剤を使う場合についてお話ししたいと思います。どんな時に使うかというと、それは応急処置時に使用します。
応急処置とはなにか?
まず炎症には慢性炎症と急性炎症とあります。
また炎症には5大徴候があり,教科書的には
「炎症の5徴」とは、発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害の5つの徴候をいう。
組織に急性炎症が起こると毛細血管は拡張し局所の血流が増加する(発赤・熱感の原因)。 拡張した血管からは血液成分の滲出が起こり、組織に浮腫が起こる(腫脹の原因)。
と説明されています。
組織に急性炎症が起きると
発赤(赤くなる)、熱感(熱が出る)、腫脹(腫れる)という現象が強くなります。
逆説的には慢性炎症の時期はこれが感じにくいということですね。
歯周病は慢性疾患で、普段は慢性炎症という状態です。痛みもありません。
なので自覚症状が無く、患者さんが気がついた時には重症化しているのです。
話がそれました。
慢性炎症である歯周病は、ある日突然急性炎症へ切り替わります。忙しい日が続いて免疫力が低下した場合や季節の変わり目で体調が不良の時などです。
今まで自覚していなかった歯周病は腫れて、痛みを発生し、急に自己主張を始めます。
そうなると、自覚症状が出るため歯科医院への受診につながります。
そのタイミングで通常の歯石除去を始めると、余計に痛みを発生増強させてしまうことが多く、
炎症を急性状態から慢性状態へ変化させてから
通常の治療へ入ります。
この急性炎症を慢性化させることを
書いて字の通り、応急処置と言います。
この応急処置の一つに抗生剤の使用が挙げられます。
そして、抗生剤を服用していただくことで慢性炎症へと戻り、痛みは再度無くなり、大きな腫れは治ります。大部分の自覚症状がなくなり、ひと安心です。しかし、ここで強調したいのは歯周病は治ったわけではないことです。ここまでは対症療法であり、症状を緩和しただけです。
ここから通常の歯周病治療が必要となります。通常の治療とは本質的な治療ともいえます。それはブラッシングによるセルフケアと、医療従事者による歯石の除去です。
日本歯周病学会の歯周治療のガイドライン2022p23によりますと、ガイドライン(指針) | 出版物 | 日本歯周病学会 (perio.jp)
歯周治療の進め方は
1)患者の治療への積極的な参加
2)プラークコントロールの確立
3)プラークリテンションファクターの除去
4)咀嚼機能の回復
5)対症療法を慎む
歯周病の病因の除去を的確に行わず,歯肉の炎症や,歯肉膿瘍,歯周膿瘍に対して単に抗菌薬や
抗炎症薬を投与したり,腫脹した部位の歯肉を切開排膿させたり,動揺歯を固定するだけの治療は
適切ではない.このような治療法は「対症療法」とよばれ,歯周病の原因である細菌性プラークを
根本的に取り除くことにはならない.対症療法により一時的に細菌性プラークが減少して治癒した
ようにみえても,短期間のうちに細菌性プラークが増加し再発するため,原因除去を原則として歯
周治療を進める必要がある
とあります。つまり通常の治療に入ったら抗生剤の出番はなくなってしまう、むしろ行ってはならないとあります。
この歯周病の治療は患者さんの歯磨きが重要となるため、積極的な治療への参加が必要となります。
歯周病の治療、メインテナンス、それをともに走る伴走者に当院はなりたいと考えております。
結デンタルクリニック津田沼でお待ちしております。